慢性胃炎と萎縮性胃炎
「慢性胃炎」とは胃の粘膜に慢性的な炎症が生じた状態です。「慢性胃炎」には、ヘリコバクターピロリ感染が関与しない「表層性胃炎」や、ヘリコバクターピロリ感染が関与した「萎縮性胃炎」「鳥肌胃炎」があります。
表層性胃炎

萎縮性胃炎



鳥肌胃炎


萎縮性胃炎とは
「萎縮性胃炎」とは、ヘリコバクターピロリ感染に起因した慢性的な胃粘膜の炎症により、胃の粘膜が薄くなり、胃酸や胃液を分泌する機能が低下した状態です。
萎縮性胃炎に特徴的な症状はありません。胃痛や胃もたれ、食欲不振や吐き気など上腹部症状が出現した際に、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を行うと、画像所見から「
萎縮性胃炎の治療
「萎縮性胃炎」は「胃がん」を発症する可能性があります。
「萎縮性胃炎」の原因のほとんどがヘリコバクターピロリ感染です。ヘリコバクターピロリを除菌することにより「萎縮性胃炎」は改善し、その結果、「胃がん」のリスクを低下させることができます。
上腹部の症状を認めた場合は、胃カメラによる検査をお勧めします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは
「胃潰瘍」・「十二指腸潰瘍」とは胃・十二指腸の粘膜が傷つき、えぐれた状態を指します。この胃潰瘍と十二指腸潰瘍を総称して消化性潰瘍と呼びます。いずれも、ヘリコバクターピロリ感染が原因の60~70%と大きな要因を占めます。しかし、その発症には年齢によって差異がみられ、十二指腸潰瘍は若年者に、胃潰瘍は中高年者に多く発症する傾向があります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状
- みぞおち付近の急な痛み
- 持続する吐き気
- 繰り返す嘔吐
- 吐血
- 黒色嘔吐
- 背部痛
これらの症状が複数当てはまる場合、胃・十二指腸潰瘍の可能性があります。潰瘍が進行すると、まれに穿孔(胃や腸に穴があく)を起こすこともあるため、症状が長引く場合は早めに胃カメラ検査を受けることが重要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因
- ヘリコバクターピロリ感染(最多 約60~70%)
- 解熱鎮痛薬(NSAIDs):ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなど
- ストレス
- 飲酒
- 喫煙
- 暴飲暴食 など
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療法
まず、内視鏡検査などによって胃や十二指腸の状態を把握します。炎症や潰瘍が確認された場合、以下のような治療が行われることがあります。
- 胃酸分泌を抑える薬剤や胃粘膜を保護する薬を使用
- 必要に応じて、原因と考えられる薬剤の見直しや中止
- ピロリ菌が確認された場合は、除菌治療を検討
加えて、再発予防のために、生活習慣の見直し(飲酒の制限、ストレス軽減、規則正しい食事など)が勧められることもあります。
日常でできる対策
- 使用している薬に関しては、胃に負担がかかる可能性がある成分が含まれていないか確認しましょう。
- アルコールの摂取量や食事の内容、生活のリズムも胃の健康に影響するため、バランスの取れた生活を心がけることが大切です。
- 症状が強い、あるいは繰り返す場合は、自己判断せず専門の医師に相談しましょう。