糖尿病とは
血液中のブドウ糖の値が慢性的に高くなる病気です。
検査項目
- 早朝空腹時血糖値:126mg/dL以上 (8時間以上絶食した後の早朝の血糖値)
- 随時血糖値:200mg/dL以上 (食事に関係なく検査した際の血糖値)
- 75g OGTT2時間値:200mg/dL以上 (75gのブドウ糖水を飲み、その2時間後の血糖値)*当院では検査不可
- HbA1c:6.5%以上 (過去1~2ヶ月間の血糖の状態を示す値)


症状

- 健診等で血糖値やHbA1cが高いと指摘された
- のどがよく乾く
- おしっこの量が増えた
- 空腹感を強く感じる
- 疲れやすくなった など
糖尿病の原因
糖尿病は、血糖値を下げる働きをもつインスリンの分泌が減少したり、作用が弱まったりすることで、血液中のブドウ糖の値が慢性的に高くなる病気です。
ブドウ糖は、エネルギー源として非常に大切な栄養素ですが、血中に過剰に存在すると血管や神経にダメージを与えます。
糖尿病は、大きく「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序・疾患によるもの」、「妊娠糖尿病」に分けられます。
1型糖尿病

1型糖尿病では先天性(生まれつき)の場合が多く、主に子供や若い人に起こります。
膵臓からインスリンがほとんど出なくなる(インスリン分泌低下・分泌不全)ことで血糖値が高くなります。 注射でインスリンを補う治療が必須となります。
2型糖尿病

2型糖尿病では、遺伝的な要素に加えて、食べすぎや運動不足、肥満など生活習慣が影響するとされています。
生活習慣だけが原因ではありませんが、治療には食事や運動、体重コントロールなど生活習慣の見直しが重要で、必要に応じて内服や注射で治療を行います。
その他特定の機序・疾患によるもの

原因となる病気を治療しつつ血糖コントロールを行う必要があります。
妊娠糖尿病

多くの場合、出産後には血糖値は正常に戻りますが、将来糖尿病になりやすいとされ注意が必要です。
治療をしないといけない理由

糖は私たちの生命を維持するためには必要不可欠なものです。
しかし、血液中の糖の濃度(血糖値)が高い状態が持続すると、全身の血管や末梢の神経に障害をきたします。
微小な血管が障害されると網膜症や腎機能障害を発症し、場合によっては失明したり、人工透析が必要になることもあります。
また、大きな血管が障害されると心筋梗塞や脳梗塞、四肢の壊疽を生じてしまうことがあります。
末梢の神経が障害されると手足の痺れを感じるたり、めまいや便秘を生じることがあります。
重大な病気を発症してしまうと、命にかかわることになります。
例え命が助かったとしても、ご本人だけでなくご家族のその後の生活に多大な影響を及ぼすことになります。
糖尿病を指摘されたらすぐに適切な治療を開始し、重大な病気の発症を予防しましょう。
治療方法
まずは生活スタイルの見直し、改善が大切です。
生活スタイルを改善しても、血中の糖の値が目標値まで改善することができなかった場合は、内服治療を行います。
食事療法

からだに取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスなどを調整するのが食事療法です。
適正なエネルギー量で、バランスよく規則正しい食事をとるようにしましょう。
食事療法のポイント
- おなかいっぱいは食べない
- よく噛んでゆっくりと食べる
- 朝昼晩の3食、バランスよく食べる
- 夜遅い時間に食べない
エネルギー量

①標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
- ②身体活動量(kcal/kg 標準体重)
- =25~30 軽労作(デスクワークが多い職業など)
- =30~35 普通の労作(立ち仕事が多い職業など)
- =35~ 重い労作(力仕事が多い職業など)
栄養配分目安
炭水化物 | 50~60% | ブドウ糖として、身体のエネルギー源に |
---|---|---|
タンパク質 | ~20% | 筋肉や臓器などの原料に |
脂質 | 20~30% | 身体のエネルギーやホルモン、細胞の原料に |
運動療法
運動の目標としては、週に3回以上(20分/回以上)で週に150分以上、少しきついなと感じる程度(中等度)の全身を使った有酸素運動が一般的に勧めらます。
また、1日おき日程で週に2~3回の筋肉トレーニング(レジスタンス運動)の両方を行うことがお勧めです。
薬物療法

食事療法と運動療法だけでは、血糖コントロールが不十分な場合に、薬物による治療を行います。
薬物治療中も、食事療法と運動療法は継続する必要があります。
継続することで、薬物治療との相乗効果が期待できます。
薬物療法には、インスリン注射薬や内服薬、インスリン以外の注射薬があります。
病状に合わせて注射薬、内服薬を決定するだけでなく、異なるタイプの薬を組み合わせて治療を行います。
